8、地下街の水没


皆様は日本にどれほどの地下街があるかご存知でしょうか?

例えばJR東京駅の地下、横浜、名古屋、大阪、博多駅の地下街、他にも様々な地下街があります。日本全ての地下街の面積を合計すると現在約110万平方メートルの地下街が存在します。110万平方メートルと言うとすぐにイメージできないかもしれませんが、ざっとテニスコートだと4200コート分、サッカー場だと200コート分というところというと何となくイメージしやすいでしょうか。そしてその60%以上が洪水氾濫の危険のある沖積平野に位置しています。以前にも書きましたが、都市は沖積平野を中心に栄えます。したがって、人が多いところに地下街があるわけですから当然の事なのです。

さて、地下街は安全なのでしょうか? 私は以前このように思っていました。
「もし大雨が降っても、きっと国がちゃんと対策して、水が入ってこないような作りになっているはずだから大丈夫」

自分の都合の良いように考えていましたが、実際のところは大間違いだとわかりました。あくまでも通常の雨の想定では水は入らない設計にはなっていますが、想定外の大雨や河川の氾濫には残念ながら設計上対応ができません。

例えば1999年と2003年にJR博多駅周辺が浸水し、地下街デイトスにも水が入りました。原因は近くの三笠川が氾濫し、さらに下水が溢れる事がかさなったからです。そして、デイトスには水害対策は一切施されていませんでした。

地下街や地下鉄の浸水は水の浸入によって停電を起こし、真っ暗闇の中で水が溢れてくる事を想像すればどれだけ怖い事でしょう。こんな状態なのにもかかわらず、地下街に関しては建築基準法の火災や地震を想定した規制がなされてはいますが、水害を想定した法整備はまだ整っていないのが現状です。

実際に地下鉄において過去に危険な状態がありました。2000年9月の東海豪雨、2日間で600ミリの雨が降り、名古屋地下鉄桜通線の野並駅が浸水しました。天白川が溢れた事が直接の原因です。雨の日はアーケード商店街や地下街に人が流れますが、この日も雨から逃れるために約3000人が地下鉄野並駅の中に避難してきました。そんな中に駅の自転車置き場の斜路より氾濫した水が地下鉄の中に流れこみ、線路上1メートルまで水があふれてきました。幸い停電せず、水かさがホームまで達しませんでしたので大事には至りませんでしたが、もしあと1メートル水が来ていたら停電してたかもしれませんし、真っ暗闇の中で溺れて亡くなる方が出ていたかもしれません。まさに危機一髪です。

さて、東京、大阪、名古屋、博多、こういった大都市部の地下街の特徴としては、様々なビルに接続されていることです。そしてすべての接続部分から水が入ってこないような対策を施すにはまだ多くの予算と時間が必要で現実的には追いついていない、もしくは出来ないのが現状です。しかし地球温暖化により気象変動は待ってくれません。ここ10年は毎年のように過去の記録的豪雨が日本各地で毎月のように更新されるとも言われています。この事は目の前に迫った危険として認識しておいたほうがいいでしょう。

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