国連世界防災会議(仙台)報告

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先日、国連世界防災会議に参加させて頂きましたが共通の認識としては 近年、過去に例のない規模の地震、台風や洪水、干ばつなどの自然災害が世界的に多発しており、その被害は年々拡大傾向にあり、今後の課題として 各国の災害リスク管理の重要性があり減災に向けての取り組みを数値目標化することにありました。

そんな中この会議は各国の防災計画上 非常に重要な意味があり、前回の神戸(兵庫行動枠組HFA)に続き今回も仙台行動枠組が策定され、国際的な防災の取組みの指針となる会議でありました。

私が感じた今回の世界防災会議の特質すべき点は 現在の気候変動は人為的気候変動であると位置づけた上で災害リスクの軽減なくして持続可能な開発は不可能であるとしており、その災害リスク軽減のための取り組みと投資の強化が極めて重要であるという点にあります。

世界防災白書によれば 現在地球全体で、地震、津波、熱帯性低気圧(台風、モンスーン、ハリケーン)、河川氾濫等による平均年間損失は 建物環境のみでも3150億米ドルであり農業等の被害を加えると平均年間損失は膨大であり、2030年までの損失予測は 90兆米ドルであります。
例えば防災リスク管理戦略に年間60億米ドル投資するならば総計で3600億米ドルの利益であり、年間60億米ドルとは都市インフラ投資全体の0.1%に過ぎません。
その効果は 年間では新規の損失と今までの平均年間損失に換算すると20%超の削減につながるとしています。

* 災害リスク管理の重要性
この様に 災害リスク管理されていない投資は 実はリスクが高いと見されます。表面的な今迄の様な試算だけで投資すべきではなく、災害リスク管理が加味されていない投資は 今後最大のリスク要因となる可能性があるとされています。いくら開発資金を投じても一回の自然災害により全てを無くす危険性を秘めているからです。

* 災害による損失
自然災害による犠牲者は、この10年間で70万人に上るとされる一方で干ばつなど気象変動による犠牲者数は含まれていない事や二次的要因の犠牲者数も含まれていない事を考えると災害による犠牲者は我々の想像をはるかに超えます。ある統計では 疾病原因死者数と同等であるとされている資料もあります。
また、統計方法による数値はことなるりますが経済損失は10年間で 1.3兆米ドルに達しているとされています。
すなわち 資料により数値の違いはあるものの自然災害による人的被害や経済的損失は計り知れない物がある事を再認識させられます。

* 日本政府の対応
今回の国連世界防災会議での日本政府の対応で特質すべき点は 今後4年間で40億米ドルの支援を表明し、世界で計4万人の防災専門家などの育成を手助けすることも発表しました。また、骨子等の詳細については折を見てご紹介致します。

* まとめ
各自各所で防災に対する取り組みはなされているが 一般の方々まで伝わってない事に問題があります。また、多くの専門家はいらっしゃるものの、地質学、地震学、火山学、気象学、消防、レスキュー、防犯、全て防災に関係ある方々を防災の専門家と称している事に錯覚と現状の認識不足が産まれているのではないかと思われます。
すなわち、本来防災の目的である、災害から生命・財産を守る事、その為には何が必要であり、なにをすべきかの協議が現時点では重要であり、今はまだ「人的被害の軽減に有効な対策はされてはいない」のが現実であります。
なぜなら、この国に置き換えると 今予想されている首都圏直下型大地震や南海トラフ巨大地震が起きた場合その対応を個人レベルで考えると直ぐさま適切な対応が取れる方が何人いらっしゃるでしょうか?
人的被害の軽減を考えるなら、災害発生時 個人がどの様にして身を守るかの衆知と地域コミニュティがどの様に動くかが徹底されない限り人的被害の軽減には繋がりません。

しかし、一般の方々の認識も政治や行政の方々でも 防災について学ぶ機会も少なくその認識不足は否めないのではないでしょうか。
現状を考えると、何が減災に最も有効な手段であるか議論の薄い中進められていたのではないかとの疑問が生じます。これはこの国の防災を考える上で非常に危険な状態であります。

過去の悲劇を繰り返してはなりません。過去の数々の失敗事例において被害を拡大する要因は 「やってる」という錯覚であり「対策済みである」という思い込みからくる事が多いのではないのではないでしょうか。
こと防災対策においては 人命に直結する以上「やったつもり」でも「やった気」でも ましては「やっているふり」など到底許される事では無いのです。

ここで今一度、防災計画及び社会システムの中における防災の抜本的見直しが必要になっているではないでしょうか。各行政や研究機関は 多くのデータをお持ちです。これを一般の方々にどう伝えて行くかが現時点の問題点であります。多くの予算を投じ蓄積さたデータもノウハウもこと防災においては一般の方々に衆知して頂けなければ人的被害の軽減には繋がりません。

少なくとも、早急になす点は 防災の衆知の為の人材育成ではないでしょうか!
政府は 国連に世界で計4万人の防災専門家育成のために 今後4年間で40億米ドルの支援を表明しております。
この国においても 防災学習や防災地域コミニュティなどのソフト面の強化が望まれるのではなでしょうか。真の防災は ハードとソフトの融合から生まれます。

以上。

防災教育振興研究所
仲西 宏之

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