14、忘却ではなく風化へ

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「忘却」とは忘れ去ること。忘れてしまうこと。を意味する言葉です。過去に津波の災害にあった地域で数十年の経過によって災害の記憶が忘却され、あぶない場所に家を建ててしまう。もしくは地震の後に津波があるかもしれない事を時間の経過とともに忘却して逃げ遅れてしまう。こういった悲惨な結果を招くのが忘却です。

「風化」とは、複数の意味があります。忘却と同じ意味もありますが、もう1つ「徳によって強化すること」という意味があります。すなわち風化とは災害などで得た教訓を地域の「共通知」として浸透させ、語るに及ばない常識のようになること、いわば地域の文化として定着する過程と理解することができます。

そういう意味で東日本大震災の教訓は「忘却」ではなく「風化」させないといけません。

風化の例をあげるとすると、釜石の「陣屋遊び」という伝統行事があります。毎年5月5日に山の平地に「陣屋」といわれる陣地を作り、陣屋では他の陣屋に負けないように大漁旗をあげたりするなど華やかに飾ります。そしてお菓子やお弁当を持ち込んで太鼓を叩いたりブリキ缶を鳴らしたりして朝から一日中陣屋で過ごすというものです。旧暦の5月5日は1896年の明治三陸津波の襲来日です。つまり、陣屋遊びとは先人が「忘却」させないように考えた津波避難整備・訓練だったのでしょう。このように伝統を継承することが災害からの教訓を次世代につなげていって「風化」させることになるのです。

防災教育においても教訓を「忘却」させないために、時代にあった新しい手法も取り入れながら東日本大震災の教訓を全国それぞれの地域の文化に「風化」させていくべきでしょう。

<参考>陣屋遊び(NHKオンライン)
http://www.nhk.or.jp/ashita-blog/300/190091.html

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